いまさら聞けない『キーワード』…ベンチャー企業
ベンチャー企業とは、「チャレンジ精神を持って新しい分野に果敢に挑んでいく明確な経営戦略を有している企業」のことです。英語では「スモールビジネス」と訳されています。このスモールには“小さい”という意味と、更に“独立している”という意味も隠されてます。一つの独立した事業体であることが必要なのです。 ヒト・モノ・カネ・情報・ノウハウといった経営資源を自前で調達し、リスクを負いながらもチャレンジし続ける存在である必要があります。最近ではIT系の企業であればどんな会社もベンチャー企業であるかのような扱いを受けていますが、決してそうではありません。バイオ産業やニューサービス産業など、他の業界にもベンチャー企業は存在します。
そもそも、ベンチャー企業のベンチャーとは、「誰もが尻込みするような新しいことに果敢に挑み、成功をつかみ取る」という意味です。したがってこのような体質を持つ企業は全てベンチャー企業と言ってよいのです。また、ベンチャー企業にとって経営戦略は彼らの「理念」や「経営目的」を達成するために絶対に必要なものであり、企業の社会性、つまり常に社会に生かされる存在としての企業を支える最重要なファクターとなっています。かつてのホンダやソニーも創業当初はベンチャー企業だったのです。
企業における研究開発は、その企業の規模に係わらず企業の商品やサービスの開発につながる重要な作業の一つと言えるでしょう。 特に、中小企業が自社ブランドを開発するためには、新商品・サービス開発のための研究活動は必要不可欠です。
研究開発は一般的に次の3つに分類されます。
仮説や理論を得るためや現象や観察可能な事実に関して新しい知識を得るために行われる理論的または実験的研究。
基礎研究で得られた知識を利用して、特定の目標を定めて実用化の可能性を確かめる研究及び既に実用化された方法論に関する新しい応用方法を探索する研究。
基礎研究・応用研究及び実際の経験から得た知識の利用であり、新しい材料、装置、製品、システム、工程などの導入または既存のこれらのものの改良を目的とした研究。
このうち中小企業の研究開発の領域は“応用研究”と“実用化研究”が中心となります。 しかし、新商品・サービスを開発するのにどのような研究課題があるのかを知ること(これを一般にエンジニアリングという。)は中小企業にとっては意外と難しいことです。中小企業には研究開発に専念できるヒトもカネも時間もないからです。
したがって、実際のところは開放特許(市場に流通している特許で、利用料を払えば自由に利用できる特許。)や大学との共同研究を通じて具体的な研究課題を見つけているのです。
「研究開発型企業」とは、年間売上高に占める試験研究費の割合が3%以上の企業のことです。
試験研究費は、財務諸表上では貸借対照表(バランスシート)の左側の繰延資産勘定に“研究開発費”として計上される経費です。しかし、銀行や取引先との取引において繰延資産勘定が多い会社は与信上不利であると考える会社が多く、研究開発費の繰延資産への計上を嫌がる傾向があります。研究開発費の大半は開発要員の人件費。一般的な企業では、開発要員の人件費はバランスシートではなく損益計算書の売上原価勘定に計上されるか、販売費・一般管理費項目の人件費勘定に事務系社員の人件費と合算で計上することが多いのです。 したがって、実際に研究開発を行っていたとしても国が言うところの「研究開発型企業」には当たらないとされ、助成金など使える中小企業施策の幅も少なくなってしまいます。
研究開発型企業の公的資金利用法
研究開発型企業となった中小企業は、国が定める様々な支援施策を幅広く利用できます。 特に資金調達面においては直接金融や間接金融に係わらず様々な支援施策が用意されています。一例を挙げると、「中小企業創造活動促進法」の認定制度があります。この法律は創業や研究開発・事業化を通じて、新製品、新技術、新サービス等を生み出そうとする“創造的事業活動”を行う中小企業や、これから創業しようとする個人を支援するため、平成7年にできた10年間の時限立法です。
認定の対象者が研究開発の事業計画を作成して都道府県知事の認定を受けると以下のような支援が受けられます。
助成率2/3、上限3,000万円の(東京都の場合)の地域活性化創造技術研究開発補助金が利用できます。
信用保証協会付きの長期返済・低利の特別融資制度が利用できます。
国民生活金融公庫などの長期返済・低利の特別融資制度が利用できます。
設備投資減税、欠損金の繰越期間の延長、試験研究関連税制などを導入できます。
機械類信用保険法の特例措置により低金利によるリース制度が利用できます。
国のベンチャーキャピタルである中小企業投資育成株式会社の有利な投資制度が利用できます。
個人投資家の投資活動による利益への優遇措置を積極的に活用できます。
従業員などに対して発行する株式を、株価が上昇した際に予め定めた安い価格で買い取る権利を付与する制度であるストックオプションの活用範囲が広がります。
この法認定制度においては、研究開発は「試験研究」「デザインの研究開発」「サービスの開発に必要となる研究開発」「商品化試作」と定義されており、中でも研究開発型企業は特別な存在として更に優遇されているのです。 この他にも研究開発型企業であれば、国や地方自治体のイベントやホームページ、発行する冊子を通じて、国内外の大学などの学術・研究機関や大企業からの共同研究開発依頼も期待できます。つまり研究開発予算が向こうから転がり込んでくるわけです。
このように、中小企業の資金調達にとって大変効果的なポジションが、「研究開発型企業」なのです。ポイントは決算を如何に閉めるか、すなわち研究開発費を如何に計上するかです。 中小企業の社長様、これを機会に一度顧問税理士・会計士の先生にご相談されることをお薦めします。
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