「与信」とは金融用語で、“信用を与える”の意味です。具体的には、何らかの契約や取引を行う際に相手が信用できるか(即ち、契約や取引に必要な資力を持ち信頼できるか否か)について、事前に審査することを意味します。
銀行業界で“与信”という言葉を使う場合、与えるのが銀行で、与えられるのは借入を希望する企業となります。
つまり、企業は銀行に常に採点されているわけです。 経営管理面からみると、与信管理は主に財務・経理部門の管理分野とされていますが、中小企業の場合は経営者自らが行う場合が多く、担当者不在のケースもあり充分な管理が行われているケースは稀です。
「長年親しくお付き合いしてきたのに、どうしてだ。」 弊社にご相談にみえる社長が途方にくれて言います。長年の取引銀行に突然融資打ち切りを告げられたのです。ここ数年、このような光景は我々にとって日常茶飯事となりました。
中小企業の社長には、金融機関との付き合いを情緒的に捉えている方が多いようです。しかし、バブル崩壊後の銀行は、この情緒的な部分まで数値化して企業の選別姿勢を強めているのです。 これが「与信格付け」です。不動産や有価証券による担保保全は別として、一般的に金融上の与信は、過去に何らかの形で借入をしてそれを返済することでしか形成できません。設立以来無借金経営の企業が急に資金が必要になっても、なかなか資金調達できない理由がここにあります。
銀行は、企業や個人に資金を融通して金利で儲ける商売です。貸した金は返ってくるのが当たり前ですが、これが最近は返ってこないから問題なのです。 極端な話ですが、企業に融資を行う時、今の銀行マンはその人に返してもらおうなどと思っていません。返済できないことを前提に審査を進めているのです。
銀行の「格付け」では、各行で若干の差異はありますが、概ね次の5段階の絶対評価で区分されています。
ちなみに、某都銀ではこれらの格付けを上位から「積極」「前向き」「現状維持」「消極」「撤退」とそれぞれ呼んでいます。
俗に“公庫”と呼ばれる政府系金融機関などは、定量的要因と定性的要因の2つで与信評価を行います。 定量的要因とは、返済能力があるかどうか客観的に判断するものです。経営の安全性や収益性、成長性といった項目でスコアリングします。 定性的要因とは、経営環境や経営能力などの状況を判断するものです。業歴、競争状態、経営者の資質などの項目でスコアリングします。 定量的要因と定性的要因の割合は6対4ぐらいと思って下さい。
具体的な採点方法は、業歴10年以下がマイナス9点、市場地位が中位の場合はマイナス3点といった具合です。 一方、銀行の場合は次の4つの評価要素について、各支店毎に6ヶ月単位で判断することが多いようです。
4つの中で格付けに最も影響するのが3.保全状況です。最近では預金を担保にするケースが激増しています。不動産価値の下落により、皆さんの“虎の子”こそ最も安全確実な担保とみられているわけですね。
経営環境が日に日に厳しさを増す中、業績がとびきり好調で財務構造が優れていない限り、放っておくとどんな企業も担保不足により格付けは確実に低下します。 与信格付けを維持・向上させるためには、以下のような方針で与信を管理することが重要です。
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